特別企画 第2弾 きむ「Dream Road」

PROFILE
きむ
詩人/いろは出版株式会社代表。1980年、福井県生まれ。
バスケットボール選手としての挫折をきっかけに詩を書きはじめる。京都芸術短期大学時代、写真を始め、詩と写真を組み合わせたポストカードをストリートで販売。
その反響はたちまちのうちに全国を席巻。ポストカードの総販売数は2007年現在、驚異の500万枚を突破。その作品を集めた書籍「想い描く世界に」は35万部(2007年12月現在)のロングセラー。その他、きむ作品集は合わせて100万部突破。
いろは出版WEBサイト http://hello-iroha.com
きむ公式ブログ http://kim.hello-iroha.com
1.夢に向かうことが金賞。叶えることは銀賞
——きむさんが詩をつくり始めたのは、バスケットボール選手として挫折したのがきっかけだそうですね。いろんな取材で何度も話されていると思いますけど、まだ知らない方のために、そこらへんを(笑)…。
きむ「バスケットに関してはね、人よりも努力してたつもり…それが挫折してしまって、夢が叶わなかったのでムダな努力やったんかな、って落ち込んで。毎日ふさぎこんで。そんな時、(高校を)卒業してた先輩が久しぶりに学校に遊びに来て、こう言ってくれたんです。『きむが夢に向かって頑張ったことはいつか人生の役にたつんやで。
ムダな努力なんかないんやで。きむが夢に向かってたことが金賞で、夢が叶うことは銀賞やから』って。その時、言葉の力を知りました。励ましてくれた先輩が詩を書いてはった人だったんで、僕も書いてみようかなって思いました。それが高校3年生の夏くらいですね」
——高校生活の後半で詩を作り出した頃には写真を本格的にはじめていたんですか。
きむ「写真をやり出したのは19歳、大学1年生の冬ぐらいでしたね。友達に写真をしてる子がいて『僕の詩に合う写真撮ってや』ってお願いしたら『自分で撮ったらいいやん』と返されて…ちょうど僕の親父が一眼レフのカメラ持ってたんで、それを貰ってからバシバシ撮るようになりました」
——ということは、それまでは文章だけの詩を作ってたんですよね。
きむ「いや、クレヨンなんかで詩を書いてプリントごっこでガッチャンガッチャンやったり。出来た詩にスフィンクスとかモアイの写真を組み合わせてみたり(笑)。地球の上に詩がのってたりとか(笑)。それを周囲に見せて、反応を楽しんでました」
2.ストリート2回目にして100枚を販売する
——きむさんの場合、作ってた作品を周囲にどんどん見せていたから、その延長線上にストリート・デビューがあったように思うんですけど違いますか。
きむ「あれは大学2年生の夏くらいですかね…友達がi-Mac買ったっていうから遊びに行って、そこではじめて自分の詩と写真を組み合わせてポストカードを作ったんです。全部で5種類くらいあったんかな。次の日、そのポストカードを学校に持っていったらみんなが『きむ、いいやん!』って言ってくれて。じゃあ、道ばたで知らん人に見てもらおー、どんな反応が起こるんやろうーって思った。でも、ポストカードを布に並べて、友達が横にいて…怪しいから3人くらいにしか売れない(笑)。阪急デパートの前だったんで、おっちゃんにあかんよーとか言われながらやってましたね」
——それでも、3人買ってくれたんですね。いい出だしだと思いますが。
きむ「いや、でもその次のストリート販売の時の反響はそんなもんじゃなかったんで…。ポストカードが5種類だけ並んでても、もしかして立ち止まりにくいんかなと考えて、20種類くらい作ってみた。コンビニでじゃんじゃんカラーコピーして。今度はそれをダーッと並べたら、5、6時間くらいでポストカードが100枚くらい売れた」
——いきなり100枚も!ということは…数分に1枚ペースで売れている!スゴすぎる!!
きむ「周りにもストリートのお店あるんだけど、僕んとこだけ明らかに繁盛しているみたいな。パッと見たら、僕のポストカード見てお姉さんが泣いてくれてたり。おっちゃんとかもね、『忘れてたこと思い出したわ』って遠い目したり。おばあちゃんが『いいこと書いとんねー、テレビの上に飾っておくわー』って言ってくれたり。いろんな反応があっておもしろかったですね。おつり入れを見たら1万円札入ってるし。こんなに喜んでもらった上に、お金までもらえるんか、って思って。こういう取材の時によく『やっぱり苦労されたんでしょ』みたいに聞かれるんですけど、それはないですね」

3.伝わらないと意味がないと考えるタイプ
——でも、あれですね、それも並べるポストカードを5種類から20種類に増やした改善あっての結果ですよね。その他になんか工夫したことってありますか。
きむ「売れるポストカードと売れないポストカードがあった時に…何で伝わらんのやろって考えましたね。これ、置く場所が悪いんかなって。じゃあ、お客さんの目について手にとりやすい売り場の角に置いてみようか、とか。あと、売れている枚数を種類ごとにエクセルの表に付けてたり。ここらへん、あまり良い感じじゃないですけど(笑)」
——言っている意味は分かります。売り上げを気にしてたんじゃなくて、それぞれの作品がどれだけ反応あるかを見たかったということですよね。
きむ「そういうことです(笑)」
——お話伺っていて、はっきりしているのは、きむさんって周囲の反応があってはじめて、喜びを感じる方なんですね。
きむ「僕は一人でコツコツやってという作家肌ではないんですね。作品が出来た時に喜びはない…それを人に見せて伝わって嬉しいタイプ。だから、人に伝わらんと全く意味ないっていう。人が喜んでいるのを見るのが好きなんですね。それで、その笑顔から僕は元気をもらっている…とにかく人が好きなんでしょうね。だから、こうして会社(きむさんはいろは出版株式会社の代表でもある)を設立してるのかも。僕が完全な作家体質だったら、一人できむの活動だけしてたと思います。人が好きだから、物づくりできる子を集めて一緒にいろんなことしよう、って考えるんでしょう。僕は…自分の作品が売れるより、その子たちの作品が売れる方がずっと嬉しいし」
——そんな想いがきむさんが今、力を注いでいるドリームプロジェクトの活動につながっていってる…。
きむ「日本ドリームプロジェクトの夢は、日本中の一人ひとりの夢が育つ日本をつくること。日本人が夢を持って、世界中に飛び出していったら、世界中の人も笑顔になると考えています(日本ドリームプロジェクトの詳細はhttp://dream-project.info)」

4.人は向上心があるから悩みを抱える
——お話を伺っていて疑問が出てきたんですけど、ポストカードがいくらストリートで売れても、全国で500万枚のセールスを記録するまでには、やはり大きな壁があります。どんな風にそれを破ってきたんですか。
きむ「ストリートの販売が好評で次はお店置いてもらおうーって思って、まずは京都のお店に置かせてもらいました。それで、いきなりポストカード部門1位みたいになって、大阪のロフトさんなんかでも1位みたいになって。お店の方から、『ポストカードコーナーに男子高校生が座り込んで読んでますよ』ってびっくりされたりですね…」
——これまた、とんとん拍子な感じですね。
きむ「それがそうでもなくてですね。自信をつけた僕は、これは僕のポストカードをどこかの会社が全国販売してくれるに違いないと思って、目星をつけた3社くらいに作品を送ったんです。そしたら見事なまでに誰にも相手にされなくて、その中の一社に試しに電話してみたら、おっちゃんに冷たくあしらわれ…」
——さきほど苦労ないって言ってましたけど、やっぱり苦労されてるじゃないですか(笑)。だから、今、きむさんのポストカードはご自身の会社で販売されているんですね。人の会社には頼れない、自分で会社作って売った方が早いって発想だったと思います。最後に、きむさんのポストカードは総計約500万枚、それをまとめた作品集も100万部を突破しましたね。なぜ、ここまで、自分の作品が反響を生んでいると考えていますか。
きむ「それは、人には向上心があるからであって…僕の力ではないと思います。人は向上心があるから、悩みも抱えるし、不安にもなる。そういう方に僕のポストカードを見ていただき、元気になってもらってるんかなーって思っています」
